『砕け散る薔薇の宿命』 犬飼のの
妖しい夜、闇より深い愛情が、月の下でざわめく。
300歳越えの吸血鬼攻に100歳目前の後天的淫魔受で、人外×人外ファンタジー。
作中、吸血鬼も淫魔も(脇役の豹男も)大雑把に「悪魔」として扱われているのですが、この「悪魔」の設定がちょっと変わっていて面白かったです。
悪魔たちの頂点に立つ「女王」を除いては純血の悪魔は存在せず片親は人間だとか
同じように人間を母親に持つのでも、貴族悪魔と下っ端とでは育ち方が違うとか、いろいろと。
先祖帰りで30歳を過ぎてから突然淫魔の血が目覚めた紲は、能力をコントロールできなかったせいで家族を失うが、二人の貴族悪魔と出会ったことから自分が何者なのかを知り、吸血鬼貴族ルイと恋に落ちる。
だが、互いの立場と考え方の違いは如何ともしがたく二人は酷い別れを迎え、それから数十年。
100歳の誕生日を目前にした紲の元に、紲を迎えに行くとのルイからの手紙が届く――と、簡単に言うと人外カッブルの再会愛もの。
メイン登場キャラが人外まみれの話ではありますが、生まれ育ちは普通の人間だった紲視点で進むので読みやすいです。
元々が勤勉な性格の紲は、悪魔になって鋭くなった嗅覚を利用し調香師として地道に働いていて、目標はルイが情欲に燃えあがった時の体臭を再現すること。
この「鋭敏な嗅覚」と「ルイの体臭へのこだわり」がストーリー全体のいい味付け。
紲もルイも、悪魔モード←→人間モードを自在に変えられるので、ルイが紲の血を吸ったり紲がルイの精気を吸ったりと、肌色シーンにバリエーションがあって楽しい。
また、使役悪魔は貴族悪魔の「命令」に逆らえないので、心ならずも指示に従わざるをえないという美味しい設定もあり、エロ的にはかなり充実。
ラヴァーズ文庫で吸血鬼×淫魔、の時点で予想はしてましたが、期待にたがわぬ濃度で満足できました。
ストーリーも、ちょい切なさはあるけど重すぎないシリアスで読みやすいし。
しかし自分的に一番の萌え所は、本来なら主従関係にあるほど格下の受にベタ惚れで執着しまくり、君かなりおかしいよね!な攻でした。
貴族悪魔の攻×普通なら使役される立場の受で、身分的にも能力的にも全てにおいて攻>>>受なので、普通なら俺様傲慢攻が強気受に酷いエロ責めをして服従を強いる……なんて展開になりそうなものなのに、ルイが紲のことを好きすぎて、偉そうなのにヘタレ感が漂う攻という楽しいことに。(肌色シーンの時は高圧的で強引なんだけど)
陰ながら紲を気にかけてるし、紲のためなら日本にすっ飛んで来るし、言ってることとやってることが違ってなんか可愛い。
赤い瞳、年をとらない身体―。
誰にも言えない秘密を抱えて生きてきた、調香師の香具山紲は、都会を避け、軽井沢の別荘地でひっそりと暮らしていた。
しかしそこへ、過去に最悪の別れ方をした元恋人のルイが姿を見せ驚愕する。
「次に私の前に現れれば殺す」。
別れ際、酷い言葉を残したルイは、今も紲も憎んでいるはずだった。
あれから百年近く経った今になってルイが現れたのは、裏切りにも似た過去の紲の決断を裁くためなのか、それとも…。
人間よりも麗しく、獣よりも狂おしい、人ならざる者たちの気高い愛の物語。【砕け散る薔薇の宿命】 犬飼のの ⁄ 國沢智
竹書房 ラヴァーズ文庫 2012年3月
『恋になるまで』 如月静
他の奴には絶対譲れない!
経験豊富なゲイ受が、知略を尽くしてノンケ(※一応受とデキるまでは男は対象外)の攻をハンターモードで攻略♥な話は好物な自分。
で、この話の見所は「溢れる下心と欲望を隠して獲物(攻)をどう仕留めるか?」とか「攻はどう落とされちゃう?」といったところ(多分)。
ごく普通のリーマン同士のカップルで友哉の同僚も出てくるのですが、いっそ清々しいほど仕事描写はありません。
同居生活と次第に親密になっていく経過、要するに恋愛メインなお話。
自分的にはかなり楽しかったです。最初から攻を食う気満々の、エロ事に限らず全てにおいて積極的で能動的な肉食系受。
野暮ったい外見+無愛想で固い性格のせいで非モテな箭内の素材の良さを一目で見抜く眼力といい、攻略と同時に箭内の見た目を変身させるエピソードといい、これって攻のお約束だよね〜?と笑って読みました。
作者曰く、当初は「朴念仁ヘタレ攻×強気な小悪魔受」を目指したとのことですが、着地点はむしろ「朴念仁喪男ヘタレ攻×強気襲い受」と言いたい感じの仕上がり。
特に、ポジションは受身でも箭内の身体をエロ目線で品定めする(←股間の膨らみ越しにサイズ推測とか)助平心満々の友哉には笑うしかないというか;
いつもは計算高いアプローチをする受はあんまり好きになれないんだけど、このエロ目線のせいで友哉への好感度が上昇したのは間違いありません。
最初から友哉の掌で転がされまくりの箭内ですが、最後の最後、初Hでは唯一攻らしいところを見せてくれました。
それまでの進行通り、まずは友哉が自分から乗っかってコトを開始するのですが、箭内は驚異の学習能力を発揮し主導権を奪うことに成功。
そして、一つのことに深く没頭する集中力と飽くなき探究心を武器に、友哉の弱い部分を的確に責める箭内。
性格と日頃の言動から「攻ってきっと淡白なんだろうなーと思ってたら実は情熱的でびっくりな受」(←朴念仁攻にはありがちな^^)で嬉しい誤算に大満足の受という、バカップルご馳走様です的ハッピーエンドでこちらも満足。
同性にしか興味のない百瀬友哉は、同僚に頼まれて参加した合コンで知り合った、無愛想で野暮ったく見える箭内功が間違いなく良い男だと直感する。
友哉はその後に企画されたバーベキューに箭内が来るよう仕向け再会するが、彼を助けようとして怪我してしまう。
不自由する友哉に責任を感じた箭内からの同居の申し出に、彼を落とす絶好の機会だと喜ぶが、恋人どころか友人にもなれそうにない程そっけなくて…。【恋になるまで】 如月静 ⁄ 桜城やや
フロンティアワークス ショコラ文庫 2011年12月
「小説リンクス2012年2月号」
特集:ケモミミ〜いつも傍らに愛しい温もり〜
ラインナップ的には購入を迷った今号。しかし、巻頭特集「ケモミミ」に惹かれつい手に。
イヌ×イヌ ねこ×ねこ カピバラ&うさぎ きつね&たぬき 羊&狼 トラ&ライオン とかのケモミミCPが巻頭(SSは無いが)なんだもん、買うしかない〜。
……はいケモ耳ケモ尻尾、大好物です。厳密に言うとケモミミ×ケモミミCPより片方が普通の人間のほうが好みなのですがそんなことはさておき。
読んでみたら本誌内容的にもケモミミ属性の話が3作ありました。
橘かおる「ふるえる耳のひみつ」
普段は隠しているけど実は耳と尻尾のある一族+お家騒動で身辺がごたついている社長攻。
普段は保護者ポジションの弟溺愛お兄ちゃんキャラが、包容力溢れる攻に転がされ受の立場に……な設定は好きなので、特にケモミミ設定でなくても楽しかったと思います。
しかしツンデレクール受が事後リラックスして耳&尻尾を出してる図はイイ(・∀・)ノ
「ここへおいで」深月ハルカ
猫擬人化学園もの溺愛攻×嫌われ受。。
学園ものだからなのか擬人化だからなのか同族ケモミミ同士だからなのか定かではないけど、いまいち萌えられず。
「ウサギ系男子の受難」桐嶋リッカ
感染により一時的に人の耳を獣耳に変化させるウイルスと、幼馴染の高校生同士。
何気なく攻が黒いです。
しかし耳が獣耳に変化するということは、耳の位置はそのままで形だけ変わるんですよね多分。想像すると微妙な。(挿絵では普通のケモミミ絵だけど)
耳だけで尻尾がないのは残念だけど、涙涎その他諸々の汁だく挿絵が素敵。
「瑠璃国正伝」谷崎泉
いろいろふらついた八潮だけど、愛する相手を得て昼メロらしく堂々のハッピーエンド。
自分ではなく双子の弟が実は真実の海子ではなかったのではないかと不安に慄く主人公は良かった。
が、正直八潮の性格って女のほうがしっくりくるような気がして最後まで馴染めず……。
小説リンクス2012年2月号
幻冬舎コミックス 2012年1月発行


