煩悩の城 【BL貧乏生活】
夜籠花嫁
タイトルは「よるかごはなよめ」ではなく「よごもりはなよめ」だそうです。(読めなかったのは自分だけじゃない、よね…?)
よごもり【夜籠り】→(1)祈願するため夜通し社寺にこもること。 (2)夜がふけること。また、その時刻。よふけ。
舞台は社寺じゃなくて娼館だけど、メインは《高智の幸福を願う弓槻》な話なので、使い方としては合ってると思います、多分。
勿論、受の願いは誤解され愛の泥沼展開(メロドラマにありがちパターン)が待っている訳なんですが。
淫乱。
涙と愛蜜にまみれひくつく弓槻を責め立て、高智は冷酷に囁く。
かつて、幾久しく愛しいと熱く口づけた、甘い唇で─。
国が変わろうとした時代。
理不尽で凄惨な幽閉生活の中、藩主の最後の嫡子、高智は弓槻だけを見つめて生きていた。
弓槻も、家臣以上の真心と無垢な体の全てで高智へ仕えた。
だが突然、弓槻は高智を裏切り出奔する!
数年後、二人は男娼と娼館主として再会するが、弓槻は高智など知らぬと言い張り、激昂した高智に!?
愛情も憎しみさえも燃え上がるただひとつの、恋。
【柊平ハルモ ⁄ 宮下キツネ プランタン出版 プラチナ文庫 2008年9月】
時代もの(幕末〜明治のなんちゃって日本)・幼馴染主従・裏切り・遊郭・再会・幽閉ネタと設定は盛り沢山ながらも、二人の関係の始まりを描いた過去話を除けば、束縛執着壊れ系攻×健気献身受のひたすらエロまたエロな内容なので、つるつる読めてしまいました。
梗概だけだともの凄く切ない話……な感じなんです。
少年時代の過酷な経験から歪んでしまった高智も納得だし、高智の為を思って取った行動が結果的には高智を傷つけ悪い方向へと転がったことを知った弓槻が、命を賭けても高智を立ち直らせようとするのも納得だし。
なのに読んでみるとエロ描写多すぎで切なさ台無しという。
毎回手順や反応を事細かに書くより、そこはもう少しさらっと流してその分痛さ切なさ方面に比重がかかってれば激萌えな話だっただけに残念。
愛と執着故の狂気じみた陵辱エンドレス自体はOKというかむしろ好きだけど、そればっかでもなあ。
また、タイトルに「花嫁」と入ってはいますがいわゆる花嫁もの(貴族とか富豪に輿入れするパターン)ではないです。
幽閉された高智の元へ弓槻が押しかけ最初は普通に主従として同居、そのうちに辛抱堪らん状態になった高智が(何しろ5年に亘る幽閉+リビドー満開のお年頃15歳だから)弓槻に対しそういう行為に及んでしまうという。注:合意の上。
二人きりで新婚夫婦のように暮らす≒嫁を迎えた気分、という微笑ましい時期もあったので、それで「花嫁」なのかもしれない。
もひとつ残念なのは挿絵でした。
絵柄がどうという問題じゃなくて、作中時間的には結構長い間の話なのに(最初にデキた時点から数えるとラストは多分10年以上は経ってると思われる)二人ともビジュアルがあんまり変わって見えないんですよね。(髪形も含めて。幕末の頃でも弓槻ってばザンギリ頭だし)
せっかくの長丁場愛なんだから、時代時代でガラリと面変わりしてると楽しかった、と。
小説b-Boy2008年10月号
先月に引き続き、商業単行本(ノベルス&文庫)関係が購入スルー続出な今月。月末発売分に希望を残しつつも今月も購入冊数最低記録を更新しそうな悲しい日々の中、つい読むもの欲しさに普段は手を出さない小説b-Boyまで購入。
本誌が読みたかったというよりは、付録に「読み切りBEaST小冊子」(BEaST掲載話再録冊子)が付いてたので魔がさしたという……。
以下、簡易感想。
「手探りのキス」 高尾理一 ⁄ 志十獄
暴力団組長の一人息子で高校生の受は、幼い頃からの世話役である攻の気を惹くため遊興三昧な生活を送っていたが、突然の事故で視力を失い――と、都合のいい視覚喪失ネタは気にしないとしても、年の差・抑圧的な御守役×我儘坊ちゃんCPなら腹黒攻の鬼畜風味が好みな自分にとっては、ライトかつ甘エロ系な流れは物足りなさが。単に好みの問題なんだけど。
「彼の嘘と本当」 鹿住槇 ⁄ 祭河ななを
唯一の家族である兄が恋人(男)と事故死し、天涯孤独の身となった高校生の受。行く先のない受は、何故か兄の恋人の双子の弟の元に身を寄せることになり、そこから始まる会社員×高校生の年の差CP。無理もあるベタな展開ながら「兄の恋人に片想い」とか「双子ならではの屈折した心理」とか好き要素もあってそこそこ満足……なんだけど受がお馬鹿でお子ちゃまなのが残念ー。
「舞姫は秘恋にとろける」 眉山さくら ⁄ 緒田涼歌
財閥総帥×芸妓(勿論男)。置屋兼お茶屋の当主の養子として育った芸妓の受が、急遽店を継ぐ為に水揚げを行い《旦那》を迎えなければならないことから起きる騒動。遊郭もの(含男花魁)は苦手じゃない、というか割と好きなんだけど、レンジの広い自分でもさすがに男の舞妓&芸妓は微妙な。切なさ成分が少なく甘めなのも不満かもしれない。
「永遠を結ぶ恋」 海原透子 ⁄ 志野夏穂
二週間の期限付きで宮大工へ弟子入りすることになったAE社員の受が、そこで出会った無愛想な年下の大工と過ごすうちにデキちゃうというお仕事系。外面はいいけど中身は糞な元彼を捨てて本命攻と恋に落ちる受設定は結構好きかも。しかしいくら人が来ない場所といっても、薪能奉納中の舞台になってる神社の敷地内で青姦はどうかと思う……。
「ひどくして、いい。」(後編) 飛沢杏 ⁄ 城たみ
俳優同士で恋人同士の受と攻、しかし攻には妻がいるし二人の関係は秘密。映画監督に襲われ振り切ったものの、身体に痕を残された受を見て嫉妬にかられた攻は受を監禁し――。ストーリーは前編で展開しつくしたかのように全編ほぼエロ(甘い拷問&監禁付)な内容に読んでて疲労困憊。
「秘めやかな恋の旋律」(前編) いとう由貴 ⁄ 白砂順
思い込みの激しい外国人男に付き纏われ負傷した、被害者の筈の受。なのに周囲は受を責め、逃げるようにアメリカへ留学した受の前に、男の従兄弟だというハルテンフェルツ公国の公子が現れ拉致軟禁。周囲に誤解され貶められ捨て鉢になってる不幸な受に、嬉しいいとう由貴さんの予感が。後編は多分攻の誤解が解けてラブラブハッピーカタルシス展開になるんだろうと期待。とりあえず今号では危機一髪シーンはあっても合体シーンはなく、切なさ成分は充分だけどエロ成分は少なめ、というかほぼ無しでちょっと残念。
そして購入動機の大半を占めた再録小冊子ですが、初読なので嬉しい上に内容的にも満足。
「迷い猫」 岩本薫 ⁄ 寿たらこ
従妹が拾ってしまった男(受)を成り行きから期間限定で家に置くことになった攻は優秀だが傲慢系。拾われ居候ものは拾われるのが受でも攻でも好きだし、俺様攻×従順受もツボ。嫉妬に駆られた攻が無茶な行動に出るのも、受に恩を着せて強引にコトに及ぶのも(ここで受が諦観するのがまたツボ)、偉そうな攻が恋愛感情に振り回されガタガタになるのは更に楽しい。つまりパターン自体が非常に趣味に合致してました。
「燃ゆる恋」 飛沢杏 ⁄ 小山田あみ
高校時代の友人で就職後も親しく付き合う仲の3人の内の二人である受は攻と身体を重ねて久しい仲なのだけれど、攻の心は受ではなくもう一人の友人に向いて……という、三角関係未満設定。実は受の誤解で、情熱を秘めた言葉の足りない攻×健気で思い込みの強い受という、鉄板で拗れるだろうCP設定はベタだけど好みな上に、受の心を打ちのめす不幸の連打が楽しいv つくづくメロドラマというかハーレクイン的な展開が好きなんだなあ自分。
小説リンクス2008年10月号
今号の巻頭小特集は「背徳」。かわい有美子さんの悪魔×神学生SSと秀香穂里さんの高校生×教師SSが掲載されてます。(ちなみに惹句は「許されない退廃の刺激に溺れて――」)
ふーん背徳かあ、と呟いて怖ろしいことに気づきました。
師弟関係・不倫・罰当たりな神様ネタは言うに及ばず、兄弟親子ものでも全然OKな自分の脳内には「背徳」というカテゴリーは存在しないようです。だから背徳ものに萌えないのかーと納得。
以下、簡易感想。
「夜の侵入者」(前編) 椹野道流 ⁄ 琥狗ハヤテ
6月号の巻頭特集SSが元ネタらしい、自称「猫神様」な化け猫×トラウマ持ちの小説家の話。ある夜、猫耳長尻尾付の全裸男が助けられた「恩返し」を、と家を訪れ――。ケモノ系人外攻って恩返しは身体で返す以外のパターンを知らんのかいっ、と突っ込みたいが好きパターンでもあるので良しv 化け猫の攻が関西弁なのは何故。心情的にはデキてるけど未だ合体にまでは至ってないので後編が楽しみな。
「同じ声を待っている」(後編) きたざわ尋子 ⁄ 佐々成美
己の利益の為に、親友の筈の兄を利用した攻を許せず別れを告げた受。3年後、攻の策略により再び顔を合わせる破目になった受はずるずると復縁方向に流されて――と、執着根気攻による焼け木杭に火パターンな話の攻略編。話自体起伏が少ない上に攻が何考えてるのか良く分からん&受の思考が盛り上がりに欠ける感じで萌え不足気味。
「密約の鎖」 深月ハルカ ⁄ 高宮東
検察事務官の受は、売買春容疑のある高級ホストクラブに潜入捜査をすることになるが、その代償に店のオーナー(←攻)に無垢な身体を開かされ――。基本設定で既に危険臭が(自分、地雷は皆無と言えるんですが、笑っちゃって駄目なネタがあって…)。ぼんやりかわいこちゃん受の潜入ものは「ねーよw」感が先立ってしまい素直に没頭できない……。
「朱の鎖」 桜木ライカ ⁄ カズアキ
狼と羊ほどにも違う双子の弟×兄CP無理矢理関係どんでん返しネタ。兄弟もの(弟攻)が激しく萌え処な上に、腕力に物を言わせて押し倒す→関係強要な流れスキーな自分的には、設定だけで美味しくいただきました。終盤、兄はやっぱり兄だったという一枚上手な展開に意表をつかれたけど、それはそれでまた楽しかったので◎。
「花色」 栗城偲 ⁄ 佐々木久美子
平安時代舞台の時代物。今上天皇と小野小町の間の隠し子であり、母の身代わりとして生きるべく育てられた受と貴族の攻。全体的には無茶な設定なんだけど楽しいので気にしないことに。薫香が誤解の要因として使われているのはいいなあ。ラブ度はそこそこあるのに分かりやすい甘味が少ないので物足りないような。誤解→逆上→強姦→反省のコンボはありがちながら素直に萌え要素。
「雨の街にて」 桃田りう ⁄ タカツキノボル
国籍・時代不明暗黒街バイオレンスアクション(?)、表面上忠犬実は壊れ系「大事なのは貴方だけ」年下攻×女王様受。えーと実はこれも自分的駄目背景設定です。ベッタベタな少女マンガベースでコレをやられると痛いのと同様、BL界でも一歩間違えると危険大な設定だと思うのです。基本、世界観が特殊な(書き込みが必要な)話って長編向きかと。
「夢の時間」 南野十好 ⁄ 日向せいりょう
居心地の良い居候生活の為に納得ずくでそっくりさんの振りをして攻に同居することになったプーで宿無しの受。しかし最初は金蔓と思っていた攻を本気で好きになってしまい――。身代わりネタは、最初から承知の上→次第に辛くなってくるパターンと、初めは何も知らない→後から身代わりと知り傷つくパターンとありますがこれは前者(どっちに転んでも痛切なくて好きなネタ)。ベタですが好みなので楽しい。
「真音」(ACT.3) 谷崎泉 ⁄ 麻生海
強引に誘う攻に、態度を軟化させながらも一線を引いて踏み込ませない受。キャラの性格はだいぶわかってきたけれど、相変わらず先の展開は不透明な。身体の関係は出来ても心の距離は恋愛とはほど遠い二人です。今回はエロ大増殖で、そういう意味では読み応えあり。
ホームラン・拳さんの「空中庭園」は最終回。切ない展開はあったもののラブラブハッピーエンド。
そして実は今回の号で一番自分的にツボだった、和泉さんの嘯風館シリーズ・ミニ特集「雛鳥は愛で孵る」キャラのSS。料理中誤ってフレンチドレッシングをかぶってしまった受を見て良からぬ想像をした揚句(当然エロ事に進展)、再度事故を生じさせるべく心がけようとする攻の思考回路が馬鹿で素敵。
ウサギ狩り
自分的には、タイトルだけだと、受がクライマックスで猟犬に追われる野兎の如くその他大勢に追いかけ回され陵辱されてボロボロにされたりするハードエロ系な内容を想像しちゃう訳なんですが、現実は想像通りにはいかない罠。実際には予想と全然違って甘いお話でした。
伝染病により女性が滅亡し、男だけになった世界で起きた異変――それは、ある日突然動物のミミが生え、同性を惹きつける強烈なフェロモンを発する「ミミつき」の存在が確認された始めたことだった。
高価に取引される彼らを狩る「ウサギ狩り」。
ウサギの「ミミつき」になってしまった宇佐美一羽の前に、高校時代の同級生で今は狩野組組長である狩野が現れる。
あっという間に捕獲された一羽は玩具として売り飛ばされることを覚悟するが、手始めに狩野から屈辱的で淫らな行為を強いられて…
【鈴木あみ ⁄ 街子マドカ 二見書房 シャレード文庫 2008年8月】
伝染病で女性が滅亡した男だけの世界。残された男達の一部に生じた突然ケモノ耳が生える異変(しかもいろいろな動物のパターンがあるらしい)。耳が生える=同性を惹き付けるフェロモン大放出。
……いやーケモノ耳BLスキーの妄想夢みたいな話です。ギャグでもないのにこれだけ無意味にブッ飛んだ設定って久々に見たかも。流石はシャレード文庫というか。(最近のシャレードのラインナップってアレですよね)
何はともあれ「獣パーツ(耳+尻尾)」に「問答無用対同性用フェロモン」ときてしまっては買うしかありません。どちらも好きなネタですし。
しかし、秀才優等生クール眼鏡美人受の頭にウサギ耳。当然尻にはウサギ尻尾。(←ウサギ耳は微妙だけど尻尾は萌えでした)
猫でも狐でもなくウサギ。何故にウサギ……。
そのミスマッチ感がいいんじゃないか!という意見もあるかもしれませんが、表紙絵を見た限りではチャレンジも程々に、と思ってしまいました。
街子さんの絵だからこの程度で済んでいますが、誰とは言いませんが挿絵の人の人選によっては怖い事になっただろうなあ、と。
ストーリー自体は、「予想外のアクシデントに見舞われた受に追い討ちをかけると見せかけて実は受を助ける攻。でも受は攻のことを誤解していて……」なテンプレに則った分かり易く(その代わり意外性もないけど)甘い内容です。お初は強要系ですが。
「ケモノ耳は敏感で性感帯」とか「ウサギ耳が似合わないと攻に言われ落ち込む受」とか「真実自分が好かれているのか、それともフェロモンの効果なのかと苦悩する受」とか、お約束な展開も多く、軽〜く読めました。
出来上がった後は更にエロも進化してるし。貞操帯Hとか。(あえて詳しくは語りませんが、受が自主的に貞操帯を着ける展開には非常に萌えですv)
しかし女性が滅亡したっていうんなら、いっそ、フェロモン云々だけじゃなくてケモノ耳が生えた「ミミつき」は同時に身体も変化して両性(男ふたなり)になっちゃうので希少価値、みたいな設定のほうが楽しいなあと思ってしまったり。
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いくらふたなりスキーだからって、更にキワモノかつマニアックな設定を推し進めてどうする自分。



