煩悩の城 【BL貧乏生活】
水面に睡る月

好物の記憶喪失ものですよ〜。しかも記憶を無くしたのが受
別に攻が記憶喪失でもいいんだけど、BLって受視点の話が多いせいか、攻が記憶喪失だとどうしても健気受・切ない系話になりがちなので受が記憶喪失なほうが謎要素があって面白いんですよね。
時代物で、明治時代後半頃の北陸地方(能登?)辺りが舞台みたいですが、話の大筋にはほぼ関係ありません。
時代臭と身分差物臭の少ない(作者曰く「ミラクルジパング」w)「地主×使用人もの+謎要素(俺の過去は?)」な話。
最後に話全体に対してもキャラに対しても印象が大回転するオチがあるのですが、流れとしてはミステリ風味凪の過去探しと暁邦×凪の関係再生がメインの穏やかなラブストーリーです。
途中無理矢理なシーンはありますが、基本的には甘エロ。そして合意の濡れ場はかなり濃密。
最初のうちは、鷹田家の使用人の冷ややかな言動と暁邦の態度からも、凪の過去に何かがあったことを描写の端々で匂わせながら、不安と苛立ちの中優しく親身に接してくれる暁邦に心を寄せていく凪の姿が描かれます。
そして突然知らされる「男娼だった」凪の過去と、「身体を売るなら自分専属で」宣言後無理矢理に凪を抱く暁邦。
暁邦は露骨に凪に好意を持ってるし、てっきり二人はデキてたと思ってたので意外でした。
大人で情熱を秘めながらも穏やかな攻と素直で一途な受という感じで、オチまでは結構定番っぽいしっとり静かめな展開なんですが、最後の最後でどーんと重暗い隠されていた事実が明らかにされるので、途中までの流れが好みな場合は微妙かも。特に暁邦のキャラが。
自分的にはこういう感じも好きですが。
受が元男娼で経験豊富+記憶喪失ということで、エロ的には「心は処女、身体は熟して貪欲な受」がたいへん楽しく、和泉さんの「気持ちいい系エロ」を堪能しました。
(和泉さんの後書きにも「気持ちでは嫌がりつつもカラダは……という受が大好物」とあるのですが、全く同感。)
勿論、気持ちも身体も嫌がる受も楽しいんですが(←鬼畜好きの無理矢理好き)、相反する心と身体に翻弄される受というのはとっても萌えツボ。
逆のパターン(『恋の片鱗 記憶の欠片』とか。珍しいパターンですが。)も楽しいですが、気持ちが嫌がってるほうがより萌えるというか。
記憶喪失の凪は、助けてくれた鷹田暁邦の屋敷で暮らすことに。
しかし凪はその屋敷に、昔から慣れ親しんできたような感覚を覚えていた。
ある日、働かずにいることが苦しく、暁邦に「働きたい」と申し出た凪は反対された挙げ句、犯されてしまう。
穏やかだった暁邦の変貌にショックを受ける凪。
しかも「愛人」として夜伽するよう命ぜられ…。
【和泉桂 / あかつきようこ 幻冬舎コミックス ルチル文庫 2008年3月】