煩悩の城 【BL貧乏生活】
蘭は渇望に濡れる
»Amazon1930年頃の上海租界、英国人貴族(伯爵家次男坊)×中国人高級男娼(訳あり超美人)、哀しい宿命、意味深な帯謳い文句「娼婦との恋は、身を滅ぼす」――等々のそそられるネタと表紙に惹かれて予定外に購入してしまいました。
この時代の上海って、猥雑な雰囲気や列強各勢力の危うい均衡と緊張感といった要素が相まって魅力的な舞台だし、『夢なきものの掟』とか『蘇州夜曲』とか『上海〜うたかたの恋』とか好きだし。
しかしまあ、ビーボーイスラッシュノベルズなのでそういう重たい背景はスルーされてます。時代背景・舞台背景はスパイス程度の扱いで、メインは《運命の恋》とエロ。
(単に恋の障害というには大掛かりすぎる背景設定と扱いの重い脇キャラがバランスの悪い感じだったけど、この後本作の脇役をメインにしたリンク作が刊行予定で、本筋はそっちでこっちは番外編的な位置付けと知って納得。)
酒と阿片でラリって道に迷い(←馬鹿)、逃げることも反撃することもできない状況で強盗に襲われたウィリアムを救ったのが、一人武術の型をさらっていた月花。
月花の美しさに魅了されたウィリアムは、その場で強引に月花を押し倒すという無茶なアプローチをかまします。
最初は抵抗したものの、やがて月花はウィリアムに応えはじめ(←馬鹿その2)、最終的に二人は情熱的に愛を交わすのでした。
……会ったその場でいきなりヤっちゃうのかしかも命の恩人相手に道端で。流される月花も月花だけど恩知らずだなウィリアム。
まあ運命の恋だし仕方ないよねー、と自分に言い聞かせて続きを読んだけど、初手のこのシーンで萎えてしまいテンションが上がらないまま読了。展開が早いのはいいけどこれはちょっと駄目でした。
後半、ウィリアムの執事・アレックス(中国系)が登場して二人の関係に絡んできて、どう転ぶかと思っていたら意外な展開に。
ウィリアムのため(と考えたこと)なら方法を選ばないアレックス、いい執事です。登場人物の中では何気に好感度が高いです。
単に他のキャラが問題あり過ぎなだけという気もしますが。(渡邊中尉はいい感じだけど。リンク作ではどんな扱いになるんだろう。)
そういう意味では一番の問題は月花。
李の手駒の冷静で腕の立つ男でスパイもどきの働きをする娼館一の男娼でウィリアムとの運命の恋に思い悩む不幸な生い立ちの青年――という、多面性というよりは印象が定まらないキャラになってしまっていて、ご都合主義的展開よりはむしろそのほうが気になりました……。
「月花…、美しい名前だ」
1930年、魔都上海を訪れた英国伯爵家のウィリアムは、猥雑な街で麗人・月花に出会った。
恋に落ち、愛欲のまま甘く鳴く体を激しく貪り―胸に浮き上がる官能的な蘭の花に魅せられる。
翌日、月花が上海一の高級男娼だと聞いたウィリアムは、燃え上がる恋心に煽られ、哀しい宿命を背負った月花を救いたいと願うのだが…。
話題騒然!愛と運命のグランドロマン書き下ろし(上海その後&英国編)大量収録で登場。
【ふゆの仁子 / 奈良千春 リブレ出版 ビーボーイスラッシュノベルズ 2008年4月】
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